本屋大賞だけじゃない!書店員が注目する文学以外の賞
能町みね子さんが「本屋大賞の対象を小説以外にも広げたら結果がばらけたのでは」みたいなことを言っていて、なるほどそうだと思いました(もとのTwitterが見つけられずうる覚え)。
なぜこのようなことを能町さんが言ったかというと、今年の本屋大賞と直木賞が恩田陸さんの「蜜蜂と遠雷」でかぶってしまったからです。
「蜜蜂と遠雷」は大傑作であることは間違いありません。
しかし権威のある賞といえば芥川賞や直木賞をトップとした文学賞であり、
文学以外は読み物として認めないみたいな風潮があると思います。
もっと賞に多様性を!ということで、私が毎年注目している(信頼している)「文学賞」以外の賞をご紹介します。
新書大賞
毎年2月発売の「中央公論」3月号にて発表されます。webサイトには結果が「出版界に大きな反響を呼びました」とありますが、現場からすると、もともと売れていた新書の妥当なランキングという感じです。
これから新書で知識を得ようという方には信頼できるランキングです。
紀伊國屋じんぶん大賞
紀伊國屋さんは全スタッフがすすめる「キノベス!」もありますが、個人的に注目しているのはこちら。選考方法などよく知りませんが、紀伊國屋の人文担当の方が好きずきに選出している感がします。普段、人文書など読みませんが、ランキングを眺めているだけで頭がよくなった気がします。
このマンガがすごい!大賞
宝島社が運営している「このマンガがすごい!WEB」が年末に発表します。年々影響力が増しているように思います。「オトコ編」と「オンナ編」の境目が微妙なのはしょうがないです。
MOE絵本屋さん大賞
絵本雑誌「MOE」の12月発売の2月号で発表されます。年末に発売されるので、児童書コーナーはクリスマス絵本が終わると「絵本屋さん大賞」受賞作フェアに変わります。仕掛人はうまいこと考えたものです。
さて冒頭の能町さんの発言に戻りますが、本当に「本屋大賞の対象を小説以外にも広げ」たら結果は違ったものになるのでしょうか。
2016年度には8万冊以上の新刊が出版されました。
その中で1冊を決めるのは非常に難しい。
改めて考えてみると、読み物の中で一番多くの人が感情移入しやすいのは、フィクションである小説なのです。
よって私の結論としては「本屋大賞の対象を小説以外にも広げ」ても結果は同じになるでしょう。
ですが、もし読み物が小説だけになってしまえば、それはひどくつまらない世界になると思います。