『A子さんの恋人』4巻を読んで─A子さんはなぜA太郎と別れられないのか
近藤聡乃さんの『A子さんの恋人』4巻が出たよー!
今までの巻より分厚いので、え?完結?と思ったが、まだでした。
しかし佳境に入ってます。
A子さんの腐れ縁のK子、U子、I子に新たな動きがあり、あとは「A子さんがA太郎とA君どちらをとるか問題」が残されるのみ。
『A子さんの恋人』のあらすじについては3巻が出たときに書いた記事を参照ください。
4巻が出たタイミングでたくさんの方が見ていただいているようでうれしい。
4巻になってますます思うけど、A子さんとA太郎の関係って本っっ当に複雑!
お互い決して本当の気持ちを口に出そうとはしないのね。
2人のたわいない会話が、昔のあるささいな出来事とつながってたりして、会話の「向こう側」を読み解くのに苦労する。
2人は本当の意味で分かり合えるのだろうか。でもこの問題にケリをつけないとA子さんはA君とも向き合えないような気がする。
A太郎がA子さんに対する気持ちをまとめるとこんな感じ。
・えいこちゃんは僕のこと好きじゃないところが好き
・僕はえいこちゃんみたいになりたい
・僕を振ってもくれないし、受け入れてもくれない
一方、A子さんがA太郎に対する気持ちをまとめるとこんな感じ。
・私なりに好きだった
・もっと好きになったら好きではいてくれない?
・別れなければと思いながら付き合う
・浮気をされているのを知らされて気が楽になった
・どうしても捨てられない
さて、私がA子さんの立場なら、さっさとA太郎に別れを告げて、A君の元に帰るのだが、なぜにA子さんはA太郎と別れることができなのだろう。
その理由は3巻に示唆されていて、
「そして思い返すと(A太郎と別れられなかった)その3年間仕事は絶好調だったのである。ものすごく仕事に集中してた ……余計なことを考えたくなかったから …ネームなんていくらでも書けた ……生活と制作は反比例するものなのか?」
つまりA君=生活、A太郎=制作ということなんですね。
A子さんにとって制作は生活を捨ててまで守りたい大事なもの。
だからA太郎と別れられないのでしょう。
でもね、「A太郎=制作」なんてしょせんジンクスなんですよ。
自分だけのジンクスを乗り越えた先に、制作の新境地がある。
それが「別れ」でなくても「私はあなたのことが好きだった」と伝えるだけでもA子さんのモヤモヤはきっと晴れると思うんだけどなー。