「野食喰い」は料理上手である─『野食のススメ』と『山賊ダイアリー』
ある本を買って読んでみようと思うきっかけは、ブログや書評などで紹介していたからとか、書店の店頭で見ていてなんとなく面白そうだったとかが挙げられると思います。
書店員である私が本を買う動機として最も信頼しているのは、お客様なんです。
私のような小説を読まない、ベストセラーにも興味のない人間が心動かされるのは、「地味だけどジワジワ売れている本」なんですね(笑)。
ということで「最近妙に売れている本を買って読んでみた」シリーズ、
今日は茸本朗さんの『野食のススメ』です。
帯の「野食を『やる』と地球を『思い出す』んですよ」というコピーにそそられました。
いきなり話は変わりますが、
コミックの『山賊ダイアリー』が大好きな私。
現役猟師の岡本健太郎さんによる狩猟とジビエ喰い実録日誌です。
狩猟の場面もよいのですが、それ以上に面白いのが野草や昆虫、動物の糞、あげくに人間の◯◯まで(!!)なんでも食してしまうサバイバル技術が学べることでした。
『山賊ダイアリー』が完結し、ロス気味な心を埋めてくれそうなのが『野食のススメ』です。
著者の茸本朗さんは東京在住でありながら近くの河川や海、はたまた路上で採取した野生食材をを見事に素敵な料理に仕上げます。
『山賊ダイアリー』でほのかに感じていた「野食への憧れ」がますます強くなりました。
茸本さんのブログ「野食ハンマープライス」を拝見すると、それぞれ自分で獲ったものを調理して持ち込んで、みんなで食す「野食会」なるものが開催されていました。
野食ハンマープライス (←リンクです)
「野食会」に並んでいる数々の素敵な料理を見ていると気づいてしまいました。
「野食喰い」は料理上手であると。
みなさん手が込んでらっしゃる…!!
思えば『山賊ダイアリー』の岡本健太郎さんも獲物をスモークで燻したり、カレーに入れたり料理に色々なバリエーションがありました。
狩りというと私なんかは「よゐこの無人島0円生活」で濱口優が獲物をそのまま素揚げにしているイメージが強くて、野食とはワイルドなものだと思っていたのです。
『野食のススメ』では獲ったあとの下処理や下ごしらえまで丁寧に解説されています。
野食に憧れながらも、こんなに色々処理をしなければならないのかと物怖じしたのも事実。
野生の食材はこんなにも処理が必要なんですね。
逆にいうと、スーパーで買う食材は本来の姿から、かなりねじ曲げられているんだろうと思う。
野食の憧れは強いが、恥ずかしながら私は魚を捌いたこともなければ、揚げ物すらできないポンコツだ。
「野食への道」を進むためには、まず「料理上手」になることが先決のようです。