ひとり会議

新しい意識をそっと伝えるブログ

考えない書店は淘汰され、考えた書店だけが生き残る

 

社会人になって書店に勤め出したころ、休みの日に地元の書店に行きました。

小学校のころからコミックや「りぼん」を必ずここで買っており、思い出のつまった書店です。

久しぶりに見てみると、棚はスカスカ、勤め先の店では普通に平台に積んでいる売れ筋商品もなく、見るも無残な状態(配本が少ないであろうことは重々承知です)。

そのまま店を出て、「もうここに来ることはないだろう」と思いました。

その後しばらくして、その書店の前を通り過ぎるとその書店はなくなっていましたとさ。

 

2016年に倒産した書店は25件と前年比の1.5倍だそうです。

25件が多いのか、少ないのか…よくわかりませんが、家族経営の小規模な書店が過半数を占めます。 

www.itmedia.co.jp

意識高い系のネットニュース共有サービス「NewsPicks」では、このニュースにたくさんのコメントが寄せられていました。

その中で多かったのは、「企業努力をしていないから倒産は当然」「時代に遅れている」「アマゾンで買う」「電子書籍でいい」など書店にとってはキツい意見でした。

 

私もコメント欄の意見に概ね同意します。

ニュース記事には「ネットメディア浸透やオンライン販売、電子書籍の普及など市場環境が大きく変化し、書店経営の苦境を反映した」とありますが、それだけではないはずです。

小規模でも、品揃えのよさで生き残っている書店はたくさんあるのだから。

 

私は今、あるチェーン書店で働いていますが、売場が広いと毎日の入荷商品を出すのに精いっぱいになります。

売れる本もそれなりに入ってくるので売場もそれなりに形になります。

すべての商品に愛情を注ぎ、店の特色を出すのはかなり難しい。

 

本の品揃えに特色を出しやすく、本に愛情を注げ、お客さんにも優しくできるのは街の書店ぐらいのサイズがちょうどいい。

 

「NewsPicks」ではキツい意見が多かったですが、「本屋が好き」「本が好き」という人がほどんどでした。

(規模に関わらず)本を売るだけでなく「文化の拠点」として考えること。手段を選ばず挑戦することができれば、まだ書店は生き残る道がいくつかあります。