書店とamazonは共存できるのか─「編集会議」2016 Autumnを読んで
「編集会議」は新しいメディアやコンテンツについて書かれているので、
毎号興味深く読んでいます。
2016 Autumn号は「メディア戦略論」という特集で、
紙とwebのいろんな立場の視点から「良いコンテンツ」
とは何かについて考えられています。
私が中でもおお〜っと思ったのが、
H.A.Bookstoreの松井祐輔さんが書かれた
「Amazonと本屋。」というコラムでした。
というのも私自身も書店員ありながら、kindleで読書し、
amazonプライムでドラマを見て、amazonで買い物。
と、もはやamazon神のご加護のもとで生活をしています。
自分の店で買い物をすることがほぼなくなってしまった現在、
関心と不安がありました。
松井さんの記事を要約すると、
◎「kindle unlimited」で本が“所有するもの”から“消費するもの”になった
◎今、書店のブームは「本を読んだ後の体験」を提供することにより
amazonにない価値を生み出している
◎最近増えてきた独立系書店は従来の版元→取次→書店にとらわれない仕入、
直取引や独自のルートを使っている
◎アメリカでは独立系の書店に最もプロモーションコストを割いている
◎売れる本はamazonで大量に消費される
◎リアル書店で売りたい本は特定の読者やコミュニティに読んでほしい本である
つまり、「amazonで売れる本」と「リアル書店で売りたい本」は
読まれ方、売り方が違うので、
amazonと書店の共存は可能!ということらしいのです。
では、「リアル書店で売りたい本」を見つけるにはどうしたらいいのか。
出版社と読者の距離の差にあると思います。
リアル書店は出版社の営業さんの声をきくことができます。
この新刊に力を入れている、この既刊が今売れてきている
という情報を知ることができます。
また、他の店では売れてないけど、うちの店で妙に売れている本というのが
どの書店でもあると思いますが、
お客様の動向を売場に反映できるのもリアル書店の強みだと思います。
amazonは巨大なマーケットとデータから
売上ランキングとおすすめ商品を提供することはできますが、
出版社との距離は遠いと思われます。
(特にkindle unlimitedの騒動をみると
出版社との絆はますます薄くなっているように思う)
ということはamazonが見過ごす良書を見つけて、
売っていけばよいのですね。
そう考えると書店員の仕事も悪くない。
しかしまずは、取次による自動配本システムをなんとかしてほしいと
切に願うのだが、それはまた巨大な闇のお話である。